産業財産権(特許権,実用新案権,意匠権,商標権)を取得し、維持するためには費用が必要です。
ここでは、その費用について説明します。
先ず、必ず必要になるのが特許庁費用です。なお、特許庁費用は本記事の記載時点のものです。
特許庁費用は次に3段階に分けて発生します。
1.出願費用
出願時費用は出願する際に必要な費用で、特許出願および実用新案登録出願は14,000円、意匠登録出願は16,000円、商標登録出願は最低で12,000円です。
商標登録出願は「最低で」と書いたのは費用が変動するためです。
商標登録出願では「商標登録出願手続」でも説明したように願書に指定商品・役務とれらが属する区分を記載する必要があります。
商標登録出願ではその区分の数によって出願費用が決まります。
具体的には、1区分増加する毎に8,600円加算されます。
2.登録費用
産業財産権に関する出願をし、審査において登録要件を満たしていると判断されると、特許査定(特許出願)または登録査定(意匠登録出願,商標登録出願)という通知がなされます。
産業財産権を取得するためには、この通知から30日以内に特許料または登録料を支払わなければなりません。
特許出願の場合には少なくとも3年分の特許料を、意匠登録出願の場合には少なくとも1年分の登録料を納付する必要があります。
一方、商標登録出願は基本的には10年分の登録料を納付する必要がありますが、前後半に分割して納付することもできます。
なお、実用新案登録出願は無審査登録主義のため審査が行われず、登録査定という通知がありません。
そのため、実用新案登録出願の場合には、出願時に少なくとも3年分の登録料を納付する必要があります。
特許出願および実用新案登録出願の費用は、請求項の数によって変動しますが、最低で(請求項数1、3年分)特許出願が13,800円、実用新案登録出願が6,600円です。
意匠登録出願は1年分で8,500円です。
また、商標登録出願はの費用は出願費用と同様に区分数によって変動しますが、1区分について32,900円です。
3.維持費用
産業財産権は存続期間が決まっていますが、権利を存続させる間は特許庁に対して費用を支払う必要があります。
言い換えると、費用を支払わなければ存続期間中であっても権利は消滅します。
費用は既に納付した費用分の期間が終了する前に納付しなければなりません。
ただし、特許権、実用新案権、意匠権の場合には特許料または登録料の納付手続になりますが、商標権の場合には更新登録申請手続になります。
なお、この特許料または登録料は存続年数に応じて変動します。
商標権の更新登録申請費用は区分数に応じて変動します。
詳細な費用は特許庁のサイトを参照してください。
なお、特許出願の場合にはこれらの他に審査請求費用が必要になります。
特許出願では審査請求を行わなければ審査されませんので、特許権を取得するためには必須の費用です。
審査請求費用は150,000円程度と高額ですが、小規模事業者等の場合には減免の適用を受けられる場合があります。
減免制度については特許庁のサイトをご確認ください。
次に、手続を弁理士に依頼した際に発生する弁理士費用です。
弁理士費用が発生するタイミングは特許庁費用と同様に、
・出願時
・登録時
・維持費用納付時
ですが、この他、拒絶理由通知時に費用が発生することがあります。
弁理士費用は事務所によって大きく異なりますので、弁理士に依頼される際には金額と発生のタイミングとを確認することをお勧めします。
また、費用の支払いのタイミングが手続の前なのか後なのかについても確認することが望ましいです。
弊所では、初回にご依頼いただいた際に料金表をお渡しし、弊所費用と発生時期等について説明させていただいています。