実用新案法第1条には、
第一条 この法律は、物品の形状、構造又は組合せに係る考案の保護及び利用を図ることにより、その考案を奨励し、もつて産業の発達に寄与することを目的とする。
と、規定されています。
すなわち、実用新案法の保護対象は「物品の形状、構造又は組合せに係る考案」であると規定しています。
そのため、実用新案法では「物品の形状、構造又は組合せに係る」ものでない、方法等は保護されません。
一方、特許法では、「発明」に該当すれば保護対象となり得ます。
例えば、方法に関する技術的思想は、実用新案では保護されず、特許法で保護されます。
実用新案権の存続期間は、特許権よりも短く、出願の日から10年となっています。
では、「考案」とは何でしょうか。
これは、実用新案法第2条第1項に、
第二条 この法律で「考案」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作をいう。
と、規定されています。
この条文は、特許法第2項第1項と非常に似た記載になっています。
異なる点は、「高度」という文言の有無だけです。
すなわち、「発明」には創作の高度性を要求するが、「考案」には創作の高度性を要求しないということです。
これによって、発明の進歩性の判断と、考案の進歩性の判断と、が異なっています。
実用新案と特許との差異は、保護対象と進歩性の判断だけではありません。
その他の差異点を列挙すると以下のようになります。
特許 | 実用新案 | |
存続期間 | 出願日から20年 | 出願日から10年 |
審査等 | 特許要件を審査 | 無審査登録主義 |
料金 | 実用新案よりも高価 | 安価 |
権利行使 | 制限なし | 実用新案技術評価書を提示した警告が必要 |
過失の推定 | あり | なし |
このように、実用新案権制度を利用すると、安価かつ早期に権利を取得することができます。
ただし、権利行使時には制限が課されますので、この点には留意が必要です。
また、一度実用新案登録出願をしても、その考案について特許を受けたいと考えた際には、実用新案登録出願からの出願変更や実用新案登録に基づく特許出願という制度を用いれば、特許出願をすることもできます。