ここでは、地理的表示法で用いられる用語の定義を説明します。
農林水産物等
先ず、「農林水産物等」とは、全ての農林水産物ではなく、以下のものを言います。
- 農林水産物(食用に供されるもの)
- 飲食料品(1.を除く)
- 農林水産物(1.を除く)
- 加工品(②を除く)
精米,カット肉,きのこ,野菜,鶏卵,牛乳,魚介類,果実,麦,芋類,豆類等
パン,麺類,惣菜,豆腐,菓子,砂糖,塩,調味料,清涼飲料水,魚の干物,菜種油,大豆油,オリーブ油等
花き,工芸農作物,生糸,木材,竹材,木炭,漆,観賞用の魚,真珠
畳表,精油,飼料
なお、酒類,医薬品,医薬部外品,化粧品,再生医療等製品は除かれます。
特定農林水産物等
地理的表示法が対象とする「特定農林水産物等」とは、「農林水産物等」のうち以下を満たすものを言います。
- 特定の場所,地域,国を生産地とする
- 品質,社会的評価,確立した特性が生産地に主として帰せされる
地理的表示
「地理的表示」とは、以下を満たす「特定農林水産物等」の名称の表示を言います。
生産地
「生産地」とは、「産品の特性と結び付きがある範囲」を言い、具体的には、「産品に特性を付与または保持するために行われる行為が行われる地域」を言います。
したがって、生産地の範囲は固定的ではなく、産品の生産実体応じて異なってきます。すなわち、ある産品では都道府県単位が生産地となり、別の産品では地区等の単位が生産地となり得ます。
生産地の特定には、現在の行政区画だけでなく過去の行政区画も用いることができます。
特性
「特性」とは、品質,社会的評価その他確立した特性を言います。具体的には以下のものがあります。
- 物理的要素(大きさ,形状,外観,重量,密度等)
- 化学的要素(添加物の有無,残留農薬の有無,酸味,糖度,脂肪分,PH等)
- 微生物的要素(酵母,細菌の有無等)
- 官能的要素(食味,色,香り,食感,手触り,風味,水分等)
さらに、「確立した特性」とは「申請農林水産物等が同種の農林水産物等と比較して産別化された特徴がある」ことを言います。農林水産省の見解では、「特徴を有した状態で25年程度生産された実績がある」ことが求められます。
生産方法
「生産方法」とは、「農林水産物等が出荷されるまでに行われる一連の行為のうち、農林水産物等に特性を付与または保持するために行われる行為」を言います。したがって、産品に対する工程のうち、産品の特性に寄与しない工程は含まれません。
なお、生産方法は申請書および明細書への記載事項ですが、少なくとも産品の特性と結び付く範囲で記載する必要があります。ただし、特性が生産地の自然条件にのみに由来する場合には、各工程が生産地で行われている旨を記載すれば足ります。
また、記載の詳細さは生産者間で決定することができ、秘密にしたい部分は不記載とすることができます。