商標法第4条には、公益的見地からの不登録理由が規定されています。
この条文は非常に長いので、一部の条文を引用するに留めます。全文はこちらを参照してください。
第四条
十 他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であつて、その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの
十一 当該商標登録出願の日前の商標登録出願に係る他人の登録商標又はこれに類似する商標であつて、その商標登録に係る指定商品若しくは指定役務(第六条第一項(第六十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定により指定した商品又は役務をいう。以下同じ。)又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの
十二 他人の登録防護標章(防護標章登録を受けている標章をいう。以下同じ。)と同一の商標であつて、その防護標章登録に係る指定商品又は指定役務について使用をするもの
十四 種苗法 (平成十年法律第八十三号)第十八条第一項 の規定による品種登録を受けた品種の名称と同一又は類似の商標であつて、その品種の種苗又はこれに類似する商品若しくは役務について使用をするもの
十五 他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標(第十号から前号までに掲げるものを除く。)
十六 商品の品質又は役務の質の誤認を生ずるおそれがある商標
十九 他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であつて、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。以下同じ。)をもつて使用をするもの(前各号に掲げるものを除く。)
第10号,第11号および第12号はそれぞれ、他人の周知商標,他人の登録商標および他人の登録防護標章と同一又は類似であり、指定商品等も同一類似である商標登録出願の登録を認めない旨を規定しています。
これらは、「他人」の商標等との関係を規定するものですので、「自己」の商標等との関係では適用されません。
なお、商標の類否判断は、外観,称呼,観念の観点から行われます。この際、取引事情等が考慮される場合があります。
第14号は、登録品種の品種名と類似する商標に係る商標登録出願の登録を認めない旨を規定しています。
第14号には、「自己の」という規定がありませんので、品種登録を受けている者が出願しても第14号の規定が適用されます。
すなわち、種苗法による保護と商標法による保護との両方を受けることができませんので、ブランド化の戦略によっていずれの法域で保護を受けるかを選択する必要があります。