関連意匠

同一出願人が複数の類似意匠を出願すると、意匠法第9条違反となるため、一の意匠出願のみが意匠登録を受けることができます。
しかしながら、これではデザインのバリエーションを保護することが困難となります。

そのために、意匠法では関連意匠を設けています。
例えば、デザインaおよびデザインaに類似するデザインb,cを創作した場合に、デザインaを意匠登録出願した後に、デザインbおよびcは、デザインaを本意匠とする関連意匠として意匠登録出願することができます。

2020年4月1日施行改正意匠法では関連意匠の出願期間が大幅に延長され、本意匠の出願から10年が経過する日前まで可能になりました。
ただし、本意匠の意匠権が存続している必要があります。

また、従来は関連意匠にのみ類似する意匠については登録が認められませんでしたが、2020年4月1日施行改正意匠法では、このような意匠の登録が認められるようになりました。
すなわち、意匠Aに類似する意匠Bがあり、意匠Aに類似しないけれども意匠Bに類似する意匠Cについても関連意匠として登録が可能になります。
ただし、この場合、意匠Cを関連意匠として出願できる期間は意匠Aの出願から10年が経過する日前までです。
また、意匠Cを関連意匠として登録を受けるためには、意匠Aの意匠権は消滅していても構いませんが、意匠Bの意匠権が存続している必要があります。

このような関連意匠の連鎖のうち最初の意匠を基礎意匠といいます。

当然ながら、本意匠に類似しない意匠を関連意匠として出願すると拒絶されます。
従来は、全体意匠と部分意匠とは非類似であるため、本意匠と関連意匠とすることはできませんでしたが、令和元年5月1日施行の意匠法審査基準では、全体意匠と部分意匠とを関連意匠として出願することが可能となりました。

関連意匠には、専用実施権や移転に関して、以下の制限が課されています。

  • 専用実施権が設定されている意匠権に係る意匠を本意匠として、関連意匠出願をすることができない
  • 基礎意匠に係る意匠権とその関連意匠に係る意匠権とを分離移転できない
  • 専用実施権は、基礎意匠とその関連意匠とに係る全ての意匠権に対して、同一の者に同時に設定する場合のみ可能

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