実体審査(意匠)

実体審査においては、審査官は、意匠登録出願が意匠法第17条の規定に該当するか否かを判断し、全ての規定に該当しない場合にのみ、登録査定を行います。
すなわち、意匠登録出願が意匠法第17条の規定のいずれかに該当する場合には、その意匠登録出願は拒絶されます。
しかしながら、この拒絶によって意匠登録への途が閉ざされるのではなく、特許出願の場合と同様に拒絶理由が通知されますので、意見書等で反論することができます。
なお、意匠法でも、意見書を提出する際の補正が認められていますが、補正ができる範囲が特許の場合よりも狭くなっています。
具体的には、要旨を変更しない範囲の補正のみが認められています(意匠法第17条の2第1項)。
補正が要旨変更であると認定されると、その補正は却下されます(意匠法第17条の2第1項)ので、補正には留意が必要です。

では、要旨変更となる補正とはどのようなものでしょうか。
審査基準によると、要旨変更となる補正とは、

  • その意匠の属する分野における通常の知識に基づいて当然に導き出すことができる同一の範囲を超えて変更する補正
  • 出願当初は不明であった意匠の要旨を明確なものとする補正

を言います。

では、具体的な拒絶理由を見て行きましょう。
拒絶理由は、意匠法第17条各号に、

第十七条
 一 その意匠登録出願に係る意匠が第三条、第三条の二、第五条、第八条、第九条第一項若しくは第二項、第十条第一項から第三項まで、第十五条第一項において準用する特許法第三十八条 又は第六十八条第三項 において準用する同法第二十五条 の規定により意匠登録をすることができないものであるとき。
 二 その意匠登録出願に係る意匠が条約の規定により意匠登録をすることができないものであるとき。
 三 その意匠登録出願が第七条に規定する要件を満たしていないとき。
 四 その意匠登録出願人がその意匠について意匠登録を受ける権利を有していないとき。

と、規定されています。

次に、これらの拒絶理由のうち以下の規定に対する違反が多いので、これらの規定を説明します。



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