部分意匠

「意匠」で、簡単に部分意匠について触れました。
ここでは、部分意匠についての留意点を説明します。

まず、意匠登録出願をする際です。
願書の物品名には何と記載すればよいのでしょうか。
例えば、万年筆のクリップ部分の部分意匠を出願する際には、物品名は「万年筆のクリップ部分」ではなく、「万年筆」です。
また、図面は、意匠登録を受けようとする部分とその他の部分とが明確になるように描かなければなりません。
上述の例では、クリップ部分を実線で描き、その他の部分を点線で描きます。
同時に、願書にその区別の方法を記載します。
なお、従来は願書に【部分意匠】の欄を設ける必要がありましたが、現在は不要です。

次に、審査に関してです。
従来の審査においては、部分意匠と全体意匠とは非類似として扱われていましたが、令和元年5月1日施行の意匠法審査基準では部分意匠と全体意匠との間でも類否判断を行うこととなりました。
したがって、部分意匠と全体意匠との間で意匠法第9条が適用される可能性があります。
また、部分意匠と全体意匠とを関連意匠として出願することも可能となりました。

では、部分意匠に係る意匠登録を受けた場合の意匠権の効力はどうなるのでしょうか。
意匠権の効力は、全体意匠と同様に、登録意匠および登録意匠に類似する意匠に及びます。

では、部分意匠の類否はどのように判断するのでしょうか。
全体意匠は、「意匠の類否判断」で物品面と形態面との類否を判断するということを説明しました。
部分意匠においても基本的には同じですが、具体的には、以下のステップで判断されます。

  • 意匠に係る物品の共通点及び差異点の認定
  • 当該部分における用途、機能の共通点及び差異点の認定
  • 当該部分の形態の共通点及び差異点の認定
  • 当該部分の位置、大きさ、範囲の共通点及び差異点の認定
  • 上述の共通点及び差異点を意匠全体として判断

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